神岡鉱山は露頭部の酸化鉛に含まれる銀を目的に戦国時代より開山され、 明治期に債権の回収と言う形で各地の鉱区権を手に入れた三井組により大規模に開発された鉱山です。日本最大の鉛・亜鉛鉱山で、茂住、栃洞、漆山、円山といった各鉱床の総称です。スカルン型の鉱床で杢地と呼ばれる灰鉄輝石中の亜鉛・鉛鉱染鉱と白地と呼ばれる石英・方解石を主とした鉱脈性亜鉛・鉛鉱石を採掘の目的としていました。神岡鉱山の銘柄標本と言えるのは、水晶や方解石の上に晶出している透明美麗な魚眼石、陣笠状を主体とする大型方解石結晶。魚眼石や珪灰鉄鉱の結晶を伴った灰鉄輝石群晶、鉱石鉱物である閃亜鉛鉱、方鉛鉱の見事な結晶群などです。銀鉱物としては、
方鉛鉱中に含まれる微細な濃紅銀鉱やマチルダ鉱といったものの他に一部熱水性の銀鉱脈があり晶洞部に脆銀鉱などの結晶を産しました。鉱床上部には大型の晶洞があり人が入れるほどのものもあったようです。2002年6月に残念ながら閉山となり、標本の産出は途絶えましたが、手持ち標本の画像をお届けいたします。
神岡鉱山の産出鉱物一覧
霰石 アンケル石 安四面銅鉱 異極鉱 生野鉱? 黄錫鉱 黄鉄鉱 黄銅鉱 灰重石 灰鉄輝石 灰鉄柘榴石 灰礬柘榴石
灰簾石 神岡鉱 カルコファン鉱 ガレノビスムタイト 含銀四面銅鉱 含苦土方解石 カンフィールド鉱 輝水鉛鉱 輝蒼鉛鉱 輝銅鉱 キューバ鉱 魚眼石 金 銀 孔雀右 グスタフ鉱 珪灰石 珪灰鉄鉱 珪孔雀石 氷長石 ゴスラー石 サーピエリ石 磁鉄鉱 磁硫鉄鉱 輝銀鉱 針鉄鉱 水亜鉛土 水亜鉛銅鉱 水晶 錫石 スパンゴル石 スピネル スマイス鉱 青鉛鉱 脆銀鉱 石英 赤鉄鉱 赤銅鉱 石墨 絹雲母 閃亜鉛鉱 ソーコン石 蒼鉛 淡紅銀鉱 チタン石 チタン鉄鉱 柱石 中性長石 鉄緑閃石 鉄緑泥石 デビル石 銅 銅アダム鉱 透輝石 銅藍 鉛鉄明礬石 濃紅銀鉱 白鉛鉱 バリゴルスキー石 斑銅鉱 砒 微斜長石 砒四面銅鉱 ヒシンゲル石 ビューダン石 ブーランジェ
鉱 フェリスチルプノメレン 葡萄石 プロシャン銅鉱 ヘスチング閃石
ベスブ石 ベゼリ石(神岡石) 方鉛鉱 方解石 方砒素鉱 ホカルト鉱 蛍石 ボリバス鉱 マチルダ鉱 マッキナウ鉱 ミメット鉱 紫水晶 毛
鉱.藍銅鉱 硫カドミウム鉱 硫酸鉛鉱 硫砒鉄鉱 菱亜鉛鉱 菱苦土石
菱鉄鉱 緑鉛鉱 緑閃石 緑泥石 緑泥石/スメクタイト混合層鉱物 緑簾石 リリアン鉱
山田滋夫著『日本の鉱物産地総覧』より
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