CERUSSITE セルーサイト 白鉛鉱 PbCO3
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鉛と炭酸が結びついた鉱物で、主に方鉛鉱を産する金属鉱山の酸化帯で発見される。同じ産地で出ることの多い鉱物としては、銅や鉛の二次鉱物である青鉛鉱(リナライト)孔雀石(マラカイト)緑鉛鉱(パイロモファイト)硫酸鉛鉱(アングレサイト)赤銅鉱(キュプライト)ブロシャン銅鉱がある。 薄い皮膜のようなものや隙間が小さく結晶になりきれていないようなものを含めれば、数多くの産地があり、珍しい鉱物とは言えない。白色の場合、独特の絹糸光沢を有することが多く、その場合は判別がつきやすい。透明なものでも独特の不透明感がある。見かけの割りに主成分に鉛を含むことから塊となるとずしりと重い鉱物である。双晶しやすい鉱物で横から見ると6本の足の出たヒトデのように見えるものがあり興味深い。 私は見かけ上重そうに見えないのに重いという鉱物が好きで、この白鉛鉱も好きな鉱物のひとつである。1mmほどの結晶であれば産する鉱山は多いのだが、1センチを越えるという結晶を産した鉱山は数えるほどである。日本一の産地はどこかといえば、間違いなく秋田県の亀山盛鉱山と言える。この産地は荒川鉱山の支山として一時期掘られた場所で、単結晶は1センチほどであるが、板状の結晶集合体の塊として素晴らしい標本を各地の博物館で見ることができる。単結晶は主に石英の水晶晶洞部分に見られ、水晶を伴う様は日本産としてはとても見ごたえがある。鉱脈そのものの観察ができないので確定はできないが、石英のきっちりとした鉱脈ではなく、破砕されてしまい、脈の中の粘土に元々鉱脈である石英や母岩、白鉛鉱の結晶集合体が浮いたような形で産出したのではないかと思う。その石英はおおまかに言って、黄銅鉱などの初生鉱石鉱物を含むもの、不毛なもの、水晶の上に緑鉛鉱の結晶を伴うもの、石英の晶洞や隙間が赤銅鉱に充填されたもの、白鉛鉱の結晶を晶洞に伴うものがある。白鉛鉱について、結晶質のものはともかく結晶度のあまり高くない不純な塊状のものは案外放置されており、現場でずっしりとした塊を拾うことができる。 自分の採集品として他に思い出があるのは、石川県の大谷鉱山産がある。この地域は江戸時代より金を目的に採掘された大鉱山地域で、周辺には赤目鉱山、金野鉱山、重見鉱山、沢鉱山、高見鉱山、金平鉱山がある。白鉛鉱が見られたのは大きなズリの一部と頂上部分にある緑鉛鉱を産する旧坑ズリで見受けられた。大ズリ一部に産したのは母岩の亀裂や石英の晶洞に生じた柱状結晶の集合体で、上部の旧坑ズリで見受けられたのは石英の晶洞に生じた単結晶の集合体である。亀山盛鉱山の帰りに大谷鉱山を訪れて帰宅した際には、両者の石が一部混入してしまい、分からなくなって困った思い出がある。 日本の主な白鉛鉱産地 秋田県大仙市亀山盛鉱山 宮城県細倉鉱山 埼玉県大滝村秩父鉱山 石川県小松市大谷鉱山 岐阜県飛騨市神岡鉱山 大阪府猪名川町多田鉱山
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日本の鉱物標本 英名リスト