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西田コレクション貸し出しによる標本展示企画展 > 『Hand Specimen 小さな石と大きな景色と水平線』
『Hand Specimen 小さな石と大きな景色と水平線』展
Hand Specimen 小さな石と大きな景色と水平線
KINUKAWA Yasunori × NISHIDA Katsuichi exhibition of lithograph & mineral collection
2020.10/3sat-10/11sun
ギャラリーヘプタゴン
KINUKAWA Yasunori × NISHIDA Katsuichi exhibition of lithograph & mineral collection
2020.10/3sat-10/11sun
ギャラリーヘプタゴン
『Hand Specimen 小さな石と大きな景色と水平線』展企画の経緯と開催日の様子
自宅2階をレンタルスペースにするという年賀状(2020)をギャラリーヘプタゴンオーナーに送ったところ、うちもちょうどギャラリーオープンしますとのこと。
それぞれが偶然同じ類のことを思い立って実現したことに興奮し、より親しい交流が始まりました。
そんな中私が鉱物コレクターであることを昔から知っていたオーナーから、私の知り合いの美術家 / 石板画家さんで日本の石灰岩を使って作品を作っている方が居て石に興味を持っておられるので、良かったら一度コレクションを見せてもらえませんかとのお願いが。
快諾し、2020年7月某日我が家のコレクションを見学に来られました。
私のコレクションと石話が想定以上で、やや興奮気味に時間が過ぎていく中、オーナーから西田さんのコレクションと衣川泰典さんの作品とのコラボ展をうちでしませんかとの提案が。
かねてよりギャラリーなど公の場所でのコレクション公開をしていきたいと考えていた自分と、石板とリトグラフ作品を同時に飾る空間表現に挑戦しておられる衣川泰典さんとの間ですっと話がまとまりました。
益富地学会館から石ふしぎ発見展のサテライトイベント開催の依頼を受けていた私は、ちょうど日程がかぶる10月10日と11日を含めることを提案し、10月3日から11日までの会期で開催することが決定しました。
勢いとは凄いもので、石の見学中に私が発したハンドスペーシメン(手のひらサイズの標本のこと)の説明が、お二方の心に響いたようで、それでいきましょうとその場で展覧会名も決定。
案外もう時間がありませんねと苦笑いしながらも、そこからはグループLINEであれよあれよと案を出し合いブラッシュアップ。
学術的な色合いも出したいという衣川氏の意向で、標本には化学式や結晶系の情報も入れ、鉱物観察コーナーを設けることで通常の美術展示と異なる趣向も入ることとなりました。 この観察コーナーには、2020年6月に購入したてのメイジテクノ社EM-51/10/962三眼ズーム実体顕微を設置。買っておいて良かったです。
8月のお盆にDM用の写真撮影会が自宅2階のレンタルスペースで開かれました。 自然光の入り具合がちょうど良いとのことで、うちが選ばれた訳です。 事前に用意を依頼された合板にジェッソを塗ったものをウマで固定し、用意したハンドスペーシメンサイズの標本と衣川氏の石版を置きながらあーでもないこーでもないと撮影。 ついでに平面展示部分の標本を並べてみて、並びも決定。 この並びの横に鉱物和名と英名、化学式と産地名を鉛筆で書いてくださいと依頼されました。 自然光での標本撮影と鉛筆書きでの標本情報提供、美術家の方の発想に感服です。
8月某日ギャラリーでも打ち合わせ、壁面展示に置く鉱物の個数を決定するため実際に標本をいくつか持っていき、サイズ感を調整しながら段数と個数を決定しました。 この平面展示標本にはラベルをつけずに、データブックを見ながら鑑賞してもらうという衣川氏の提案があり、どうせならフォトブックとして制作しギャラリーでの販売も行うという私の提案を採用してもらい話がまとまりました。一度鉱物標本のフォトブックをつくってみたかったので、初挑戦です。 文字情報を入れないことで壁面展示自体を作品とし直観の美しさを感じてもらう演出に感動しました。
8月下旬にはギャラリーオーナーの手によって素晴らしいデザインのDMが完成。各自300部受け持ちで受け取りました。 私の場合は知人への送付の他に、益富地学会館、なずなガラス(藤森寮)、逃現郷、万年青、シナモン、ウッドミルブルワリー京都に配架依頼を行いました。
9月中旬衣川氏作成の展覧会ポスターが配布され、益富地学会館への掲示依頼と私が運営するスペースたて680での掲示を行いました。 ポスターもリトグラフで作成され、作品と言えるものです。 各自準備を進める中、ギャラリーオーナーとまゆぱんさんとの間で鉱物お菓子を販売するプランも進行。まゆぱんさんに私が標本提供し、彼女の優れた観察眼と完成度に対する飽くなき追及によって素晴らしいものに仕上がっていきました。 この鉱物お菓子は衣川氏によるリトグラフのコマーシャルペーパを身にまとうことが決定。ポスターデザインの色違いで美しいものに仕上がりました。 フォトブックについて、DMと同じジェッソ塗り合板の上の自然光撮影で画像作成。 文字の選定やレイアウト、表紙デザインについて、商業デザインに精通したギャラリーオーナーの協力のもと完成度を高めました。ありがたいことです。 フォトブックの名称はGeo Fluits1としました。字面のイメージでRのところをLとしております。Fluoriteの見慣れたイメージも拝借。
2020年9月30日いよいよ搬入開始、くしくもこの日は私の記念すべき半世紀生きた誕生日でしたが、チームメンバーにはあえて告げず、黙々と車から標本と機材を降ろしてこの日は終了。 10月1日は私が会場に行くことができず、衣川氏が空間をつくるために黙々と作業されました。プランは練っていても実際会場に搬入してからが勝負です。この時間のみならず印刷物の作成ならびにサインを入れる作業が300枚とのことで、頭が下がります。
10月2日、午後から工務部が入るとのことで午前中にできる作業は済ませるべく奮起。 平面展示部(Geo Fruits#2)を完成させ、壁面の棚の位置決めを行いました。 平面展示の配置は事前に決めており、横に情報も鉛筆で書き込んでおりますので、決めた場所に置きバランスと向きを整えました。
お昼はギャラリーオーナーと旦那さん、そして鉱物お菓子の仕上げに来られたまゆぱんさんを交えてお弁当を食べながら雑談。とても和やかで楽しい時間でした。 お昼からは工務部であるギャラリーオーナーの旦那さんが手際よく壁面展示(Geo Fruits#1)の棚の取り付け。取り付け後は私がFruitsを盛り付けるようにあらかじめて決めた位置に置いていきました。 配置に合わせてフォトブックのページを作成しており、最上段左上から最下段右下の順でページ送りして見ることができます。
平べったい標本を正面に向ける方法についてギャラリーオーナーと散々思案しましたが、いざ会場に置いてみると視点よりも下の標本が多く、完全に正面に向ける必要のあるものは一部でした。やはり現場がすべてです。 ギャラリー奥の鉱物観察コーナーの机も工務部さんが今回の展示に合わせてチューニング。部屋の奥行幅とピッタリの机が設置されました。そしてこれは偶然なのですが私がDIYで作成した木製鉱物標本箱と奥行がぴったり!完成度の高いものとなりました。
仕切り付きの大きな450×900mmの標本箱も用意しておりましたが、小さい方が配置の応用が利くということで360×600mmの箱を2つ配置となりました。実体顕微鏡1台とルーペで観察できる場所2か所、最大3名の方が観察できるスペースとなりました。
空間の一部ですので、衣川氏に鉱物観察コーナーの地図の貼り付けを依頼して午後4時頃自分の搬入終了です。
会場に貼られていた地図、赤丸が今回の展示で使用した標本の産地位置、白丸が私が訪れた場所を示していました。
10月3日の初日は仕事のため画廊番に入れず、休日である4日と10日と11日画廊番に入りました。
画廊番に入って感じたこと 石灰岩を使ったリトグラフ石板の大きさとハンドスペーシメンサイズの標本の大きさが整っているので、会場の統一感に感じ入りやすい。 石灰岩の上に描かれた黒い風景とモノクロームのリトグラフに対して、色とりどりの鉱物標本の組み合わせが華を添え、会場の雰囲気に対して相乗効果がある。 標本はすべて間近で見ることができるようにしたので、標本の持つ外見的特徴を肌で感じる人が多い。
衣川氏関係の美術家の方々の石に対する反応が凄く、興味を引くポイントや標本の見方の着眼点が的確。 鉱物観察コーナーが評判で、実際に鉱物標本に触れて観察する方々の横顔がとてもにこやか。そして場所さえ設けておけば割と勝手に観察する人が多い。
締めくくり
今回美術家衣川泰典氏と展示を共にすることで、空間というものを強く認識させられ、今までの自分の展示方法を覆す驚きのアイデアに満ちたものでした。そして石は鉱物標本コレクター以外にも多くの人を惹きつける魅力に溢れていることを知りました。
また実物を前に説明することは、微力ながら世の中の人に喜んでもらえるものであると認識することもできました。
今回の体験は自分の中に深く入り込み、展覧会後の様々な活動への原動力となっています。
2021年7月10日と11日には、自運営の「スペースたて680」にて「石コレクションお披露目会 石会たて」を開催し、他のコレクターの方にも自標本を展示し解説する喜びを体験していただきました。
今後も私自身の作品制作・展示活動に加えて、美術系の展示と鉱物標本展示コラボも積極的に行っていきたいです(20210719記)。
写真撮影:衣川泰典氏
写真撮影:衣川泰典氏
写真撮影:衣川泰典氏
写真撮影:衣川泰典氏
写真撮影:衣川泰典氏
写真撮影:衣川泰典氏
写真撮影:衣川泰典氏
写真撮影:衣川泰典氏
写真撮影:衣川泰典氏
写真撮影:衣川泰典氏
写真撮影:衣川泰典氏
それぞれが偶然同じ類のことを思い立って実現したことに興奮し、より親しい交流が始まりました。
そんな中私が鉱物コレクターであることを昔から知っていたオーナーから、私の知り合いの美術家 / 石板画家さんで日本の石灰岩を使って作品を作っている方が居て石に興味を持っておられるので、良かったら一度コレクションを見せてもらえませんかとのお願いが。
快諾し、2020年7月某日我が家のコレクションを見学に来られました。
私のコレクションと石話が想定以上で、やや興奮気味に時間が過ぎていく中、オーナーから西田さんのコレクションと衣川泰典さんの作品とのコラボ展をうちでしませんかとの提案が。
かねてよりギャラリーなど公の場所でのコレクション公開をしていきたいと考えていた自分と、石板とリトグラフ作品を同時に飾る空間表現に挑戦しておられる衣川泰典さんとの間ですっと話がまとまりました。
益富地学会館から石ふしぎ発見展のサテライトイベント開催の依頼を受けていた私は、ちょうど日程がかぶる10月10日と11日を含めることを提案し、10月3日から11日までの会期で開催することが決定しました。
勢いとは凄いもので、石の見学中に私が発したハンドスペーシメン(手のひらサイズの標本のこと)の説明が、お二方の心に響いたようで、それでいきましょうとその場で展覧会名も決定。
案外もう時間がありませんねと苦笑いしながらも、そこからはグループLINEであれよあれよと案を出し合いブラッシュアップ。
学術的な色合いも出したいという衣川氏の意向で、標本には化学式や結晶系の情報も入れ、鉱物観察コーナーを設けることで通常の美術展示と異なる趣向も入ることとなりました。 この観察コーナーには、2020年6月に購入したてのメイジテクノ社EM-51/10/962三眼ズーム実体顕微を設置。買っておいて良かったです。
8月のお盆にDM用の写真撮影会が自宅2階のレンタルスペースで開かれました。 自然光の入り具合がちょうど良いとのことで、うちが選ばれた訳です。 事前に用意を依頼された合板にジェッソを塗ったものをウマで固定し、用意したハンドスペーシメンサイズの標本と衣川氏の石版を置きながらあーでもないこーでもないと撮影。 ついでに平面展示部分の標本を並べてみて、並びも決定。 この並びの横に鉱物和名と英名、化学式と産地名を鉛筆で書いてくださいと依頼されました。 自然光での標本撮影と鉛筆書きでの標本情報提供、美術家の方の発想に感服です。
8月某日ギャラリーでも打ち合わせ、壁面展示に置く鉱物の個数を決定するため実際に標本をいくつか持っていき、サイズ感を調整しながら段数と個数を決定しました。 この平面展示標本にはラベルをつけずに、データブックを見ながら鑑賞してもらうという衣川氏の提案があり、どうせならフォトブックとして制作しギャラリーでの販売も行うという私の提案を採用してもらい話がまとまりました。一度鉱物標本のフォトブックをつくってみたかったので、初挑戦です。 文字情報を入れないことで壁面展示自体を作品とし直観の美しさを感じてもらう演出に感動しました。
8月下旬にはギャラリーオーナーの手によって素晴らしいデザインのDMが完成。各自300部受け持ちで受け取りました。 私の場合は知人への送付の他に、益富地学会館、なずなガラス(藤森寮)、逃現郷、万年青、シナモン、ウッドミルブルワリー京都に配架依頼を行いました。
9月中旬衣川氏作成の展覧会ポスターが配布され、益富地学会館への掲示依頼と私が運営するスペースたて680での掲示を行いました。 ポスターもリトグラフで作成され、作品と言えるものです。 各自準備を進める中、ギャラリーオーナーとまゆぱんさんとの間で鉱物お菓子を販売するプランも進行。まゆぱんさんに私が標本提供し、彼女の優れた観察眼と完成度に対する飽くなき追及によって素晴らしいものに仕上がっていきました。 この鉱物お菓子は衣川氏によるリトグラフのコマーシャルペーパを身にまとうことが決定。ポスターデザインの色違いで美しいものに仕上がりました。 フォトブックについて、DMと同じジェッソ塗り合板の上の自然光撮影で画像作成。 文字の選定やレイアウト、表紙デザインについて、商業デザインに精通したギャラリーオーナーの協力のもと完成度を高めました。ありがたいことです。 フォトブックの名称はGeo Fluits1としました。字面のイメージでRのところをLとしております。Fluoriteの見慣れたイメージも拝借。
2020年9月30日いよいよ搬入開始、くしくもこの日は私の記念すべき半世紀生きた誕生日でしたが、チームメンバーにはあえて告げず、黙々と車から標本と機材を降ろしてこの日は終了。 10月1日は私が会場に行くことができず、衣川氏が空間をつくるために黙々と作業されました。プランは練っていても実際会場に搬入してからが勝負です。この時間のみならず印刷物の作成ならびにサインを入れる作業が300枚とのことで、頭が下がります。
10月2日、午後から工務部が入るとのことで午前中にできる作業は済ませるべく奮起。 平面展示部(Geo Fruits#2)を完成させ、壁面の棚の位置決めを行いました。 平面展示の配置は事前に決めており、横に情報も鉛筆で書き込んでおりますので、決めた場所に置きバランスと向きを整えました。
お昼はギャラリーオーナーと旦那さん、そして鉱物お菓子の仕上げに来られたまゆぱんさんを交えてお弁当を食べながら雑談。とても和やかで楽しい時間でした。 お昼からは工務部であるギャラリーオーナーの旦那さんが手際よく壁面展示(Geo Fruits#1)の棚の取り付け。取り付け後は私がFruitsを盛り付けるようにあらかじめて決めた位置に置いていきました。 配置に合わせてフォトブックのページを作成しており、最上段左上から最下段右下の順でページ送りして見ることができます。
平べったい標本を正面に向ける方法についてギャラリーオーナーと散々思案しましたが、いざ会場に置いてみると視点よりも下の標本が多く、完全に正面に向ける必要のあるものは一部でした。やはり現場がすべてです。 ギャラリー奥の鉱物観察コーナーの机も工務部さんが今回の展示に合わせてチューニング。部屋の奥行幅とピッタリの机が設置されました。そしてこれは偶然なのですが私がDIYで作成した木製鉱物標本箱と奥行がぴったり!完成度の高いものとなりました。
仕切り付きの大きな450×900mmの標本箱も用意しておりましたが、小さい方が配置の応用が利くということで360×600mmの箱を2つ配置となりました。実体顕微鏡1台とルーペで観察できる場所2か所、最大3名の方が観察できるスペースとなりました。
空間の一部ですので、衣川氏に鉱物観察コーナーの地図の貼り付けを依頼して午後4時頃自分の搬入終了です。
会場に貼られていた地図、赤丸が今回の展示で使用した標本の産地位置、白丸が私が訪れた場所を示していました。
10月3日の初日は仕事のため画廊番に入れず、休日である4日と10日と11日画廊番に入りました。
画廊番に入って感じたこと 石灰岩を使ったリトグラフ石板の大きさとハンドスペーシメンサイズの標本の大きさが整っているので、会場の統一感に感じ入りやすい。 石灰岩の上に描かれた黒い風景とモノクロームのリトグラフに対して、色とりどりの鉱物標本の組み合わせが華を添え、会場の雰囲気に対して相乗効果がある。 標本はすべて間近で見ることができるようにしたので、標本の持つ外見的特徴を肌で感じる人が多い。
衣川氏関係の美術家の方々の石に対する反応が凄く、興味を引くポイントや標本の見方の着眼点が的確。 鉱物観察コーナーが評判で、実際に鉱物標本に触れて観察する方々の横顔がとてもにこやか。そして場所さえ設けておけば割と勝手に観察する人が多い。
締めくくり
今回美術家衣川泰典氏と展示を共にすることで、空間というものを強く認識させられ、今までの自分の展示方法を覆す驚きのアイデアに満ちたものでした。そして石は鉱物標本コレクター以外にも多くの人を惹きつける魅力に溢れていることを知りました。
また実物を前に説明することは、微力ながら世の中の人に喜んでもらえるものであると認識することもできました。
今回の体験は自分の中に深く入り込み、展覧会後の様々な活動への原動力となっています。
2021年7月10日と11日には、自運営の「スペースたて680」にて「石コレクションお披露目会 石会たて」を開催し、他のコレクターの方にも自標本を展示し解説する喜びを体験していただきました。
今後も私自身の作品制作・展示活動に加えて、美術系の展示と鉱物標本展示コラボも積極的に行っていきたいです(20210719記)。
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